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社労士のSNS発信|顧問契約につなげる内容

社労士のSNS発信|顧問契約につなげる内容

社労士事務所のSNSで顧問契約につながりやすいのは、毎月発生する労務判断を扱う投稿です。

助成金や法改正の速報は反応を取りやすい一方、1回の相談で終わりやすいテーマです。

この記事は、従業員10〜100名程度の中小企業を主な顧客とする事務所を前提にします。

発信するのは所長本人、または所長が内容を確認する職員を想定しています。

この記事の結論

投稿テーマは「法改正対応」「就業規則」「ハラスメント」「助成金」の4つに絞ります。顧問化しやすいのは前の2つです。発信で相談の質を上げ、初回面談で「今回だけ必要な作業」と「毎年繰り返す作業」を分けて示すと、継続契約の判断材料になります。

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顧問につながる投稿と、スポットで終わる投稿の違い

継続契約は「これは毎年うちで起きる」と経営者が気づいた時に検討されます。

つまり投稿の役割は、単発の疑問に答えることではありません。

繰り返し発生する業務であることを、相手の社内状況に重ねて見せることです。

顧問につながりやすい投稿には、次の3条件のどれかが入っています。

  • 毎年または毎月発生する手続きである
  • 判断を誤ると、後から金銭的な負担が出る
  • 社内に専任の担当がいない業務である
投稿の型 来る相談 着地しやすい契約
助成金の制度紹介 「うちは対象ですか」 申請のスポット
法改正の施行日と対応項目 「何から手を付けるべきか」 対応支援+顧問の検討
就業規則の条文の読み方 「今の規程で足りているか」 規程改定+運用の顧問
トラブル対応の初動 「今まさに困っている」 緊急スポット(顧問化は面談次第)

発信する4テーマと、顧問化しやすい順

社労士が扱えるテーマは広いですが、SNSで回すなら4つに絞ると蓄積が効きます。

顧問化しやすい順に並べると、法改正対応、就業規則、ハラスメント、助成金になります。

テーマ 読者が動く瞬間 顧問化のしやすさ 単発で終わる条件
法改正対応 施行日が自社に関係すると分かった時 高い 施行日だけを伝えて終わる場合
就業規則・労働条件 自社の条文と比べた時 高い ひな形の配布だけで終わる場合
ハラスメント・労使トラブル 社内で問題が起きた時 中 解決後の接点を設計していない場合
助成金 金額を見た時 低〜中 申請代行のみで契約が切れる場合

そのまま使える投稿の企画例

以下は当社で作成した企画例です。実際の支援実績ではありません。

  • 法改正:「施行日・対象になる会社の条件・最初にそろえる書類」の3点を1枚ずつに分けた3枚構成
  • 就業規則:「10年前の規程でよく残っている条文」を1投稿1条文で連載する
  • ハラスメント:相談を受けた直後の24時間にやることと、やらないことを並べる
  • 助成金:金額ではなく「申請前に社内で整っている必要がある状態」から書く

助成金を扱う場合、金額を見出しにすると問い合わせの質が下がりやすくなります。

要件の確認作業そのものを見せると、継続的な労務管理の話につながります。

机の上で書類を見ながら打ち合わせをする2人のビジネスパーソン
写真:Mikhail Nilov/Pexels

経営者向けと人事担当者向けで書き分ける

同じテーマでも、読む人が違えば響く情報が変わります。

どちらに向けた投稿かを決めずに書くと、相談の内容がぼやけます。

項目 経営者向け 人事・総務担当者向け
冒頭の一文 対応しなかった場合に生じる負担 いつまでに何を提出するか
扱う数字 人件費・時間・リスクの大きさ 期限・対象者数・様式名
求める行動 方針の決定 社内での段取り
向く形式 短い動画や1枚画像 手順を並べた複数枚投稿
着地 面談の予約 チェックリストの入手

経営者向けだけに寄せると、実務の信頼が伝わりません。

担当者向けだけに寄せると、契約を決める人に届きません。

月あたりの投稿を、経営者向けと担当者向けでおおよそ半々に配分すると偏りを抑えられます。

守秘義務と助成金表現の線引き

社会保険労務士法第21条は、正当な理由なく業務上知り得た秘密を漏らすことを禁じています。

SNSの事例紹介は、この点で最も事故が起きやすい領域です。

事例を抽象化する5つのルール

  1. 業種・地域・規模を同時に出さない
    3つのうち2つまでにし、残りは「ある製造業」のように丸めます。
  2. 時期をずらす
    「先月の相談」ではなく「繁忙期に多い相談」と書きます。
  3. 人数と金額は幅にする
    「従業員32名」ではなく「30名前後」と書きます。
  4. 複数案件を1つの型に統合する
    個別の事例ではなく「よくある相談の型」として再構成します。
  5. 特定につながる事情は扱わない
    調査中・係争中の案件や、公表前の処分に関わる話題は投稿対象から外します。
見落としやすい点

顧問先の許諾を得て実名で紹介する場合は、口頭ではなく書面で範囲を決めておきます。掲載する媒体、掲載期間、担当者が変わった際の連絡先、削除依頼の窓口を先に書いておくと、引き継ぎ時の取りこぼしを防げます。

助成金で避けたい表現と言い換え

雇用関係助成金は、支給の可否を都道府県労働局が審査します。

厚生労働省は、申請書類の作成に関わった役員・従業員・社会保険労務士・代理人が不正行為をした場合でも、事業主が不正受給をしたものとみなされると示しています。

不正受給と判断されると、全額の返還に加えて不正受給額の2割相当額と延滞金の納付が求められ、原則5年間は他の雇用関係助成金も受給できません(厚生労働省「雇用調整助成金 不正受給関係」)。

また厚生労働省は、受給額の無料査定などをうたう一方的な勧誘について注意喚起を行っています。国が特定の事業者に助成金の勧誘を委託することはないとしています。

避けたい書き方 問題になる理由 言い換え例
「申請すればもらえます」と言い切る 支給決定は労働局の審査を経る 「支給要件の一つは◯◯です。審査を経て支給が決まります」
金額だけを大きく出す 要件を満たさない相談が集まる 「受給額の前に、就業規則の整備が前提になります」
「書類はこちらで作ります」 事実と異なる書類作成の誘因になりうる 「社内の実態を確認したうえで、書類の整え方をご案内します」
「無料で受給可能額を査定」 国の注意喚起と同じ文言に見える 自事務所で実際に提供している範囲だけを書く

スポット相談から顧問契約へ引き上げる導線

引き上げは面談の場だけで決まりません。投稿の着地点から設計します。

以下は当社で作成した導線の企画例です。

  1. 投稿の着地を「相談」ではなく「確認」にする
    「就業規則の第◯条を開いてください」のように、読者が自社の状況を見る行動を指定します。
  2. フォームで状況を先に取る
    従業員数、短時間労働者の人数、規程の最終改定年、困っている期限の4項目を必須にします。
  3. 初回面談で棚卸しをする
    30〜45分で、今回だけ必要な作業と毎年繰り返す作業を分けて書き出します。
  4. 同じ資料にスポットと顧問を並べる
    年間に発生する手続きの件数を数え、どちらが運用しやすいかを比較します。
  5. 納品後30日以内に次の接点を置く
    次に来る法改正の確認日程を、納品時に決めておきます。

比較は金額より「発生の仕方」で示す

比較項目 スポット対応 顧問契約
依頼の発生 問題が起きてから 起きる前に予定化
法改正時の調査 見積もりの外になりやすい 年間の計画に含められる
事務所側の予測 月ごとに変動 稼働の見通しが立つ
SNSの役割 案件の入口 入口と継続理由の両方

仮定に基づく試算として、顧問が月3万円なら年間36万円です。

スポットの平均単価が5万円なら、同じ売上に年7件以上の新規が必要になります。

実際の単価は事務所ごとに異なるため、自事務所の数字に置き換えて計算してください。

テーブルを挟んで面談をする相談者と担当者の様子
写真:MART PRODUCTION/Pexels

法改正カレンダーに沿った年間投稿計画

法改正は投稿のネタ切れを防ぐ材料になります。施行日が決まっているためです。

ただし、確定した制度と検討段階の内容を混ぜないでください。

直近で確定している内容(2026年10月時点)

  • 改正労働施策総合推進法により、カスタマーハラスメント防止と求職者等へのセクシュアルハラスメント防止の措置が、2026年10月1日から事業主の義務になりました。企業規模による猶予はありません。
  • 社会保険の適用拡大として、短時間労働者の賃金要件(月額8.8万円、いわゆる106万円の壁)が2026年10月に撤廃されました。企業規模要件は2027年10月以降に段階的に縮小される予定です。
  • 2026年度の地域別最低賃金は、都道府県ごとに発効日が異なります。発効日は各労働局の公表で確認してください。

労働基準法の大きな改正は審議が続いており、施行時期は確定していません。

未確定の内容を扱う時は「検討段階」と明記し、対応を急がせる書き方は避けます。

毎年繰り返す実務に合わせた投稿テーマ

時期 社内で起きること 投稿テーマの例
1〜3月 36協定の更新、来期の人員計画 協定の期間管理、雇用契約書の見直し
4〜5月 入社・異動、新年度の規程適用 試用期間の扱い、労働条件通知の記載
6〜7月 労働保険の年度更新、算定基礎届 提出期限の整理、残業時間の集計方法
8〜9月 最低賃金の答申、秋の改定準備 賃金表の点検手順、対象者の洗い出し
10〜11月 最低賃金の発効、制度の施行 施行後の運用確認、就業規則の反映
12月 年末調整、繁忙期の労働時間 長時間労働の管理、年末年始の休日設定

この表を月ごとの投稿本数に割り当てると、年間計画の骨組みができます。

同じ考え方を税務テーマに置き換えた内容は、税理士事務所のSNS発信の記事でも整理しています。

所内で回す体制と、投稿前の確認フロー

所長1人で続ける前提にすると、繁忙期に止まります。

作る人と確認する人を分け、確認の基準を文書にしておきます。

役割 担当の例 作業
ネタ出し 相談対応をしている職員 月内に受けた質問を5件書き出す
原稿作成 職員または外部 抽象化ルールに沿って下書き
内容確認 有資格者 制度の正確さと施行日を確認
公開判断 所長 顧問先が特定されないかを確認
  • 制度の出典(所管省庁のページ)を原稿に添えているか
  • 施行日と対象になる会社の条件を本文に書いているか
  • 検討段階の内容に「未確定」と書いているか
  • 事例の業種・地域・規模が3点そろっていないか
  • 助成金の投稿で、支給を言い切る表現になっていないか
  • コメントやDMでの個別回答の範囲を、事前に決めているか

確認は2段階にし、公開ボタンを押す人を1人に固定すると判断がぶれにくくなります。

所内だけで回すのが難しい場合は、撮影と編集を外部に出し、内容確認を所内に残す分担も考えられます。

当社では、士業事務所を含む企業のInstagram運用代行やTikTok運用代行に加え、所内で運用を続けるための内製化支援SODATSUを行っています。事業内容の一覧から、支援範囲をご確認いただけます。

発信が止まっている原因が体制なのか導線なのかを整理したい場合は、お問い合わせから現状をお知らせください。受付は平日10:00〜19:00です。

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