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SNSの誹謗中傷とは?具体例・対処・注意点

SNSの誹謗中傷とは?具体例・対処・注意点

SNSの誹謗中傷とは、事実の指摘を伴わない人格否定や、根拠のない事実を広めて社会的評価を下げる投稿を指します。サービスへの不満そのものは批判やクレームであり、誹謗中傷とは分けて扱います。この記事では、線引きの基準、被害時の初動、削除申請、法的手段を検討する目安、担当者を守る社内ルール、自社が加害側にならないための投稿前確認までを事業者の視点で整理します。

前提として、本記事は一般的な制度の説明です。個別の投稿が違法かどうかは文脈で判断が分かれます。損害が大きい場合は弁護士など専門家への相談を前提に読み進めてください。

この記事の結論

やることは3段階です。①48時間以内に証拠を保全して社内に報告する、②プラットフォームへ報告・削除申請する、③削除で止まらない場合に法的手段を検討する。並行して、担当者が1人で抱えない体制を先に決めておきます。

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誹謗中傷と、正当な批判・クレームの違い

境界は「対象が事柄か、人格か」「事実の裏づけがあるか」「目的が改善要求か、攻撃か」の3点で見ます。まず投稿を3つに仕分けると、対応方針が決まります。

区分 内容の特徴 投稿例(企画上の作例) 基本の対応
正当な批判・意見 商品やサービスという「事柄」への評価。感情的でも事実に基づく 「予約時間から30分待たされた。案内がなく不親切だと感じた」 事実確認のうえ返信。改善点は社内共有
クレーム(要求型) 不満に加えて対応や補償を求める。要求内容が特定できる 「施術内容が説明と違った。返金してほしい」 SNS上では一次回答のみ。詳細は個別窓口へ誘導
誹謗中傷 人格否定、差別的表現、根拠のない事実の断定、執拗な反復 「あの店員は頭が悪い」「無免許で営業している」(事実無根の場合) 返信せず記録。報告・削除申請の対象

法律上は「事実を示したか」で罪名が変わる

刑法上、事実を示さずに公然と人をおとしめる行為は侮辱罪(刑法231条)、具体的な事実を示して社会的評価を下げる行為は名誉毀損罪(刑法230条)として整理されます。侮辱罪は2022年7月7日施行の改正で法定刑が引き上げられ、現行は1年以下の拘禁刑もしくは30万円以下の罰金または拘留・科料です。これにより公訴時効も1年から3年になりました(法務省「侮辱罪の法定刑の引上げ Q&A」)。

企業にとって重要なのは、法人も名誉毀損の対象になり得る点です。事実無根の内容で会社の信用を落とす投稿や、虚偽の情報を広めて営業を妨げる行為は、民事・刑事の双方で問題になり得ます。一方で、実際に起きた出来事についての率直な感想は、表現が厳しくても違法とは限りません。「気分が悪い投稿」と「違法な投稿」は別物として扱います。

見落としやすい点

不快な投稿すべてを削除対象として動くと、対応コストが膨らみ、かえって「都合の悪い口コミを消している」という指摘を招きます。仕分け基準を先に文書化し、誰が見ても同じ判断になる状態にしておくことが実務上の分かれ目です。

店舗・企業に起こる誹謗中傷の具体例4パターン

起こり方によって、窓口も証拠の残し方も変わります。自社で起こり得るものにあらかじめ担当を割り当てておきます。

1. 口コミ・レビュー欄への事実無根の書き込み

来店実績のない投稿、他店と取り違えた投稿、競合を想起させる連続投稿などが該当します。地図サービスやグルメサイトは、投稿者との直接交渉ができない代わりに、各社のポリシー違反報告窓口が用意されています。

2. 投稿コメント欄・DMでの攻撃

自社アカウントの投稿に人格否定のコメントが連続する、DMで脅迫的な文言が届く、といった形です。InstagramやTikTokにはコメントの非表示・削除、特定アカウントからのコメント制限、キーワードフィルタなどの機能があります。機能名と手順は更新されるため、運用ルールには「各アプリのヘルプで最新の手順を確認する」と書き添えておくと陳腐化しません。

3. なりすましアカウント

店名やロゴを流用したアカウントが、勝手にキャンペーンを告知したり、来店客に返信したりするケースです。被害の中心が「顧客の誤認」である点が他と異なります。自社の公式アカウント一覧を自社サイトに明示しておくと、問い合わせが来たときに説明が早くなります。

4. 従業員個人への攻撃

接客した従業員の容姿や私生活に踏み込む投稿、個人アカウントの特定、顔写真の無断転載などです。被害者は会社ではなく個人のため、削除申請や法的手続の当事者も原則として本人になります。会社は費用負担や手続支援の方針を、被害が起きる前に決めておく必要があります。

店内でスマートフォンの画面を確認し表情を曇らせる店舗責任者
写真:https://kaboompics.com//Pexels

被害に気づいてからの48時間でやること

最初にやるのは反論ではなく、記録と共有です。投稿は削除・編集されることがあり、後から証拠を集め直せません。

  1. 証拠を保全する(発見から数時間以内)
    投稿画面のスクリーンショットに加えて、投稿URL、アカウント名とID、投稿日時、取得した日時を必ず控えます。画面全体(URLバーを含む)が写るよう撮り、複数投稿があれば一覧も残します。動画は画面録画で保存します。
  2. 反応を止める
    担当者の個人的な反論、引用しての拡散、感情的な返信は行いません。社内の判断が出るまで「返信しない」を初期状態にします。
  3. 社内に報告する(当日中)
    あらかじめ決めた報告先(店舗責任者→本部→経営層など)に、上の記録を添えて連絡します。報告様式を1枚のフォーマットにしておくと、夜間や休日でも抜けが出にくくなります。
  4. 影響範囲を確認する(24時間以内)
    拡散数、他媒体への転載、予約キャンセルや問い合わせの増減を見ます。ここで「単発か、拡散中か」を切り分けます。
  5. 運用の一時停止を判断する(24〜48時間)
    予約済み投稿が火に油を注ぐ内容でないかを確認し、必要なら配信を止めます。全停止か、通常投稿のみ継続かを責任者が決めます。
  6. 公式見解を出すか決める(48時間めど)
    事実と異なる情報が広がっている場合のみ、確認できた事実だけを短く出します。推測や相手への非難は書きません。出さない判断も記録に残します。
証拠保全での注意

スクリーンショットだけでは、投稿先のURLや投稿日時が残らないことがあります。発信者の特定には通信記録が必要になりますが、記録の保存期間は事業者によって異なり、時間が経つほど手がかりが失われます。法的手段の可能性が少しでもあるなら、保全と相談は同じ週のうちに進めるのが現実的です。

プラットフォームへの報告・削除申請の進め方

手順は媒体で異なりますが、流れは共通しています。①該当投稿の報告(アプリ内メニュー)→②運営の審査→③結果の通知、の順です。まずは無料でできるアプリ内報告から始め、動かない場合に次の手段へ移ります。

段階 やること 向いている場面 限界・注意
①アプリ内の報告 投稿・アカウントを運営へ通報。自社の投稿ならコメント削除やフィルタ設定も併用 規約違反が明らかな中傷、なりすまし 審査結果の理由が詳しく示されないことがある
②権利侵害としての削除申出 名誉毀損・プライバシー侵害などを理由に、運営の窓口へ申し出る 単なる規約違反では消えなかった投稿 権利侵害の説明を自分で組み立てる必要がある
③公的な相談窓口 総務省の違法・有害情報相談センター、法務局のインターネット人権相談などに相談 手順が分からない、社内に知見がない 削除そのものを代行する機関ではない
④弁護士経由の削除請求・仮処分 任意の削除交渉、応じない場合は裁判所の手続 ③までで消えず、営業上の損害が続く 費用と期間がかかる。事案により見通しが異なる

2025年4月施行の「情プラ法」で変わったこと

従来のプロバイダ責任制限法は改正され、2025年4月1日に情報流通プラットフォーム対処法(通称・情プラ法)として施行されました。総務大臣に指定された大規模なプラットフォーム事業者に対して、削除申出の受付方法や削除基準の公表、削除申出への判断・通知、運用状況の公表などが義務づけられています。判断・通知までの期間は、省令で原則7日間と定められています。

実務への影響は、「申し出れば、結論が返ってくる期間の目安ができた」点です。削除される保証ではありません。申請日と通知内容を記録し、結果が出ない場合に次の段階へ進む、という社内の進め方を決めておくと止まりません。

法的手段を検討するかどうかの判断ライン

すべての中傷に法的手段を取るのは現実的ではありません。費用・期間・社内負担に見合うかで判断します。以下は判断の目安として整理した基準です。個別の可否は弁護士の見立てによります。

  • 虚偽の事実が書かれ、売上・予約・採用応募に具体的な影響が出ている
  • 同一人物とみられる投稿が繰り返され、報告しても止まらない
  • 従業員個人の氏名・顔・勤務先が特定される形で攻撃されている
  • 脅迫や業務妨害に当たり得る文言が含まれる
  • なりすましにより、顧客が実害(誤送金・誤来店など)を受けている

複数に当てはまるなら、削除と並行して発信者の特定を検討する段階です。投稿者を特定する手続としては、2022年10月に始まった発信者情報開示命令の制度があり、従来より手続を1つの裁判手続にまとめられるようになっています。刑事面では、名誉毀損罪・侮辱罪はいずれも親告罪で、告訴には犯人を知った日から6か月という期間の制限があります。時間との勝負になるため、「相談するかどうかを決める期限」を社内で先に決めておくと判断が遅れません。

費用の考え方

削除請求、発信者情報の開示、損害賠償請求は別々の手続で、それぞれ費用が発生します。金額は事務所と事案によって幅があるため、相談時に「どの段階まで進めるといくらか」を段階ごとに見積もってもらい、社内の決裁ラインと突き合わせてください。回収できる賠償額が費用を下回ることもあり、その場合は削除と記録に絞る判断もあり得ます。

会議室で書類を広げて対応手順を確認する社内チーム
写真:Pavel Danilyuk/Pexels

担当者を守る社内ルールの作り方

SNS運用担当者は、中傷を最初に読む人です。個人アカウントを兼ねている場合は、攻撃が本人に向かうこともあります。仕組みで負荷を下げます。

先に決めておく5つのこと

  1. 返信してよい範囲
    「返信する/定型文で返す/返信しない」の3分類と、それぞれに当たる投稿例を一覧化します。判断に迷う投稿は、返信せず上位者へ回すのが原則です。
  2. エスカレーション先と連絡手段
    誰に、何分以内に、どの手段で報告するかを明記します。休日・夜間の連絡先も決めます。
  3. 担当者の露出範囲
    従業員の本名・顔出しを行うかは本人の同意を前提とし、撤回できる条件も併せて決めます。退職後の投稿の扱いも入れておきます。
  4. アカウント権限と引き継ぎ
    ログイン情報を個人端末や個人アカウントに紐づけたままにしない、担当変更時に権限を棚卸しする、といった手順を決めておくと、引き継ぎ時の取りこぼしを防げます。
  5. 担当者のケア
    中傷を受けた投稿は担当者に読ませ続けない、対応窓口を別の人に移す、といった運用上の逃げ道を用意します。個人が法的手続を取る場合の会社側の支援方針も定めておきます。

ルールは作って終わりにせず、四半期に一度、実際に起きた投稿を題材に読み合わせると運用に定着します。

自社が加害側にならないための投稿前チェック

企業アカウントの投稿や、従業員の個人投稿が、他者への中傷と受け取られることもあります。公開前に次を確認します。

  • 特定の人物・企業・店舗を、名指しまたは推測可能な形で否定していないか
  • 競合との比較で、確認できない事実を断定していないか
  • 顧客・取引先・従業員が写り込み、本人の同意なく公開していないか
  • クレーム投稿への反論として、相手の属性や人格に触れていないか
  • 引用・転載したコメントに、投稿者が特定される情報が残っていないか
  • 「炎上狙い」で他者を巻き込む構成になっていないか
  • 従業員が業務時間外に発信する場合の、社名の出し方が決まっているか

特に、批判コメントへの返信は投稿本体より炎上しやすい場面です。返信文は、書いた人とは別の人が読んでから送る二重確認にすると、感情的な表現が残りにくくなります。予防の全体像は、炎上リスクを避けたSNSマーケティングの考え方もあわせて参考にしてください。

社内だけで体制を組みきれない場合の相談先

公的な相談先としては、総務省の違法・有害情報相談センター、法務局のインターネット人権相談、警察相談専用電話(#9110)があります。削除や特定そのものを代行する機関ではありませんが、どの手続に進むべきかの整理には使えます。

運用面の設計(コメント監視の頻度、返信基準の文書化、エスカレーションの線引き、担当者を1人にしない体制づくり)を外部と一緒に組み立てたい場合は、当社でもご相談を受けています。当社は2021年7月設立、累計750社の支援実績があり、Instagram運用代行とTikTok運用代行のほか、社内で運用を回せるようにする内製化支援も行っています。体制づくりから相談したい場合はお問い合わせフォームから、支援内容を先に確認したい場合は事業内容の一覧をご覧ください(受付は平日10:00〜19:00)。

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