
SNS運用代行の契約書は、金額と期間だけ見て押印すると、終了時に困ります。先に結論を書きます。優先して読むのは「業務範囲」「著作権」「アカウントの所有権と権限」「中途解約」「終了時の引き継ぎ」の5条項です。この5つが曖昧なまま運用が始まると、やめるときに費用も時間もかかります。
この記事は、発注先を決めた後、契約書案を受け取った段階の方に向けています。条項ごとに「よくある書かれ方」「自社が不利になりやすい文言」「修正を依頼するときの言い方」をまとめました。文例はすべて当社が記事用に作成したもので、特定の案件の実例ではありません。最終的な判断は、自社の法務や顧問弁護士に確認したうえで行ってください。
【Instagram集客のプロが教える無料個別ロードマップ】
弊社は、累計750社のクライアント様のInstagram集客を成功に導いてきました。その豊富な経験を活かし、あなた専用の無料個別ロードマップをご提供いたします!
こんなお悩みありませんか?
- SNSからの集客方法がわからない
- 毎日投稿しても結果が出ない
- 同業者にしか見てもらえない
これらのお悩みをお持ちの方、今すぐLINEでご相談ください。あなた専用のオーダーメイドアドバイスを無料でご提供いたします!

弊社の実績
- ピラティスアカウント:7年間フォロワーが300人だったアカウントが、弊社サポート後、3ヶ月で1.4万フォロワーに!
- コーチングアカウント:集客にお困りだったお客様が、2ヶ月で20,000フォロワーを獲得し、1ヵ月で150人のお問い合わせを達成!
- ファスティング講座アカウント:4年間で800人だったフォロワーが、弊社サポート後、2ヶ月で4000フォロワーに!
今すぐLINEでご相談ください!
先に結論|契約書案を受け取って最初に見る5条項
金額の交渉より先に、終了時に何が自社に残るかを決める条項を読みます。残るものが決まっていれば、運用中のトラブルも整理しやすくなります。
| 優先度 | 条項 | 決めておきたいこと |
|---|---|---|
| 1 | 業務範囲・工数 | 投稿本数、修正回数、撮影の有無、誰が何を作るか |
| 2 | 成果物の著作権 | 移転するか使用許諾か、二次利用の範囲、移転の時期 |
| 3 | アカウントの所有権 | SNSアカウントと広告アカウントの名義、管理権限の持ち主 |
| 4 | 契約期間・中途解約 | 最低契約期間、自動更新、解約予告期間、違約金の有無 |
| 5 | 終了時の引き継ぎ | 返還する資産の一覧、対応の期限、追加費用の扱い |
5条項に共通するのは、「誰のものか」と「いつまでに何をするか」を文章で特定することです。以下、条項ごとに見ていきます。
条項1|業務範囲と工数の定義(投稿本数・修正回数・撮影)
最も揉めやすい条項です。「Instagramの運用全般」とだけ書かれた契約書は、後から追加費用の話になりやすくなります。範囲が広いのではなく、範囲が特定されていないことが問題です。
| 不利になりやすい文言 | 修正を依頼する言い方 |
|---|---|
| 乙は、甲のSNSアカウントの運用業務を行う。 | 業務の内容と数量は別紙に記載してください。月間の投稿本数、ストーリーズ本数、修正回数、定例会の頻度を数字で入れたいです。 |
| 投稿内容の修正は、乙が必要と認めた範囲で行う。 | 1本あたりの修正回数の上限と、上限を超えた場合の追加単価を書いていただけますか。 |
| 撮影は別途協議のうえ実施する。 | 月1回・半日・カメラマン1名までを基本料金に含め、超過分は1回あたりの単価で精算する形にできますか。 |
数量を別紙に逃がす形は問題ありません。ただし、別紙が契約の一部であること、別紙の変更には双方の書面合意が必要なことを本文に書いておくと、言った言わないを減らせます。
自社側の作業も書きます。素材提供の期限、確認の返答期限、撮影場所の手配などです。自社の遅れで投稿できなかった分を翌月に繰り越せるかどうかも、先に決めておくと請求時に揉めにくくなります。

条項2|成果物の著作権と二次利用の範囲
制作した画像・動画・原稿を、契約終了後も自社のチラシや採用サイトで使いたいなら、ここを読み飛ばせません。
日本の著作権法では、著作権を譲渡する契約でも、翻案権など(第27条)と二次的著作物の利用に関する権利(第28条)を契約書に書いていないと、譲渡した側に残ったと推定されます。動画を短く編集し直す、写真を別サイズに作り変えるといった行為は翻案にあたり得ます。「著作権を譲渡する」とだけ書かれた条項は、編集し直す権利が移っていない可能性があります。
また、著作者人格権は譲渡できません。実務では不行使の特約を置くのが一般的です。
修正を依頼する言い方の例(当社作成の文例)
「本件業務に基づき乙が作成した成果物の著作権(著作権法第27条および第28条の権利を含む)は、委託料の支払い完了をもって甲に移転する。乙は甲および甲が指定する第三者に対し、著作者人格権を行使しないものとする。」
譲渡が難しいと言われた場合は、使用許諾でも実務は回ります。その場合は次の3点を特定します。
- 使える期間(契約終了後も継続するか、終了日までか)
- 使える媒体(SNS以外、Web、紙、店頭サイネージ、広告素材としての利用可否)
- 改変の可否(尺の変更、テロップ差し替え、他媒体用の再編集)
音源・フォント・有料素材・外部モデルの権利は、制作会社が取得したライセンスの範囲でしか使えません。SNS内の音源ライブラリは、商用利用の条件が媒体ごとに異なります。「成果物に第三者の権利が含まれる場合、その利用条件を納品時に書面で示す」と一文入れておくと、他媒体へ転用するときの判断がしやすくなります。
条項3|アカウントと広告アカウントの所有権・権限
運用代行で最も取り返しがつきにくいのが、アカウントの名義です。代行会社の管理下で新規開設されたアカウントは、契約書に書いていなければ、所有者がどちらかで争いになり得ます。
確認する点は3つです。
- 名義を特定する
SNSアカウント、広告アカウント、連携する管理ツールの名義が自社であることを、契約書または別紙に書きます。新規開設分も対象に含めます。 - 管理権限の最上位を自社に置く
MetaやTikTokの法人向け管理画面では、企業の管理単位の下に代理店をパートナーとして追加し、必要な権限だけ渡す運用ができます。最上位の管理者を自社の担当者にしておくと、担当交代時の手続きが進めやすくなります。 - 広告費の支払い名義を決める
代行会社のカードで立て替えると、アカウントの支払い情報が相手側に残ります。自社名義の支払い手段に切り替えられるか、確認します。
危ない文言の例は「本件アカウントの開設および管理は乙が行い、その一切を乙に委ねる」です。修正の言い方は「開設名義とアカウントの所有権は甲に帰属し、乙には業務に必要な範囲の管理権限を付与する、という形に変更できますか」となります。
解約時の権限移管でつまずきやすい点は、SNS運用代行の解約とアカウント引き継ぎの記事で手順を整理しています。
条項4|再委託とフリーランス起用の扱い
SNS運用代行では、撮影・編集・デザインを外部のフリーランスに出すことが珍しくありません。再委託そのものを禁止すると、現実的でない体制になることもあります。禁止するかどうかではなく、誰が責任を負うかを決めるのが実務的です。
- 再委託する業務の種類を事前に開示してもらう(撮影、編集、デザインなど)
- 再委託先の行為についても、受託者が責任を負うと明記する
- 再委託先にも、同等の秘密保持義務を課すと書く
- 自社の未公開情報や従業員の映像を扱う範囲は、事前承諾制にする
危ない文言は「乙は、業務の全部または一部を第三者に再委託することができる」とだけ書かれ、責任の所在がない形です。修正の言い方は「再委託は可能として構いません。再委託先の行為は乙の行為とみなす、という一文を追加していただけますか」です。
個人への直接発注と会社への発注で体制がどう変わるかは、SNS運用代行を個人に依頼する場合の違いと選び方で比較しています。
条項5|秘密保持と、従業員・顧客の肖像の扱い
一般的な秘密保持条項だけでは、SNS運用で発生する次の論点をカバーしきれません。
| 論点 | 契約書に書いておく内容 |
|---|---|
| 従業員の出演 | 撮影した映像の使用範囲と期間、退職後の扱い、本人同意の取得は誰が行うか |
| 顧客・来店者の映り込み | 掲載前の許諾取得の手順、許諾が取れない場合の処理(撮り直し、加工) |
| アカウントのDM・コメント | 個人情報を含むやり取りの保存場所、終了時の削除または返還の手順 |
| 実績公開 | 代行会社が自社名・成果を実績として出す場合の事前承諾の要否 |
実績公開は見落とされがちです。社名やアカウントを出されたくない場合は、「乙は、甲の事前の書面承諾なく、本件業務に関する事実を自社の営業資料・Webサイト等に掲載しない」と入れる方法があります。
個人データの受け渡しがある場合は、保存場所・アクセスできる担当者の範囲・終了時の削除報告までを手順として決めておくと、引き継ぎ時の取りこぼしを防げます。
条項6|契約期間・中途解約・自動更新
SNS運用は成果が出るまで一定期間かかるため、最低契約期間が設けられることがあります。期間を設けること自体は不合理ではありません。確認すべきは、期間内にやめたくなったときの条件です。
- 最低契約期間は何か月か。期間中の解約に違約金はあるか、残月分全額か
- 自動更新か。更新を止める場合の予告期間は何日前か
- 予告は書面かメールか。宛先は誰か
- 相手方に債務不履行があった場合、無催告で解除できるか
- 解約後、前払い済みの費用は精算されるか
危ない文言は「本契約は12か月とし、期間満了の3か月前までに申し出がない限り、同一条件で更新される」というものです。3か月前予告は、更新月を意識していないと見落とします。修正の言い方は「予告期間を1か月前にできますか。難しい場合は、更新の1か月前に乙から書面で通知する、という義務を追加してください」です。
「期間中はいかなる理由でも解約できない」と読める条項は、運用の質が落ちたときに動けなくなります。成果ではなく業務の不履行(報告が出ない、投稿本数が約束を下回る)を解除事由として別に書くと、出口を一つ確保できます。
条項7|報告義務とKPIの扱い(未達のときどうするか)
前提として、SNSの数値は外部要因で動きます。フォロワー数や再生数の達成を受託者の義務として書く契約は、現実には受け入れられないことが多いです。そこで、義務として書けるのは「行為」、目標として置くのは「数値」と分けて考えます。
| 区分 | 契約書での書き方 | 未達時の扱い |
|---|---|---|
| 行為の義務 | 月12本の投稿、月1回の定例会、月次レポートの提出期限 | 不履行として是正要求・解除の対象にできる |
| 数値の目標 | 別紙に目標値として記載。契約上の保証ではないと明記 | 未達時は原因分析と改善案の提出を義務づける |
修正を依頼する言い方は「目標値は保証ではない形で構いません。代わりに、2か月連続で目標を下回った場合は、原因と改善案を次回定例会で書面提出する、という条項を入れてください」です。これなら受託側も受けやすく、発注側は改善の機会を確保できます。
レポートについては、提出期限(例:翌月5営業日以内)と、記載する指標を別紙で指定します。指標を決めずに任せると、月ごとに見せ方が変わり、比較できなくなります。
条項8|炎上・法令違反が起きたときの責任分界
投稿内容が原因で批判が集まったとき、誰が何をするかを決めていないと、初動が遅れます。責任の所在を決めることは、相手を責めるためではなく、対応の順番を先に決めておくためです。
- 承認フローを契約書に紐づける
投稿前に自社が承認する運用なら、承認済みの投稿と、承認を経ていない投稿で扱いを分けます。承認の方法(ツール上の承認、メール返信)も特定します。 - 緊急時の連絡先と対応時間を決める
連絡先、受付時間、投稿の一時停止や削除を誰の判断で行えるかを書きます。営業時間外の扱いは特に揉めやすい部分です。 - 法令・ガイドライン違反の責任を分ける
景品表示法やステルスマーケティング規制、医療広告など、表現の規制は業種ごとに異なります。原稿の最終的な表現責任を自社が持つのか、受託側の善管注意義務の範囲とするのかを明記します。 - 第三者の権利侵害を扱う
受託側が用意した素材が他人の権利を侵害していた場合の対応と費用負担を書きます。
危ない文言は「投稿内容に関する一切の責任は甲が負う」という包括的な免責です。受託側が作った原稿や素材まで含めて自社が全責任を負う形になります。修正の言い方は「承認した投稿については当社が責任を負います。ただし、乙が提供した素材の権利処理と、乙の提案内容の法令適合性は、乙の確認義務の範囲としてください」です。

条項9|損害賠償の上限
多くの業務委託契約には、賠償額の上限が入っています。一般的なのは、直近数か月分の委託料相当額を上限とする書き方です。上限があること自体は実務上よくある形です。
確認するのは次の2点です。
- 上限の基準月数(直近1か月分か、6か月分か、契約全期間の委託料か)
- 上限の例外(故意・重過失、秘密保持義務違反、第三者の権利侵害を除外しているか)
修正を依頼する言い方は「上限を設ける点は理解しています。故意または重大な過失による場合と、秘密保持義務違反の場合は、上限の対象外としてください」です。上限額そのものを引き上げる交渉より、例外の設定のほうが合意に至りやすい傾向があります。
あわせて、賠償の範囲が「通常生ずべき損害(直接損害)に限る」となっているかも見ます。逸失利益を広く含める書き方は、受託側が受け入れにくく、交渉が長引きます。
条項10|終了時の引き継ぎを条項に落とす
最後に、契約終了時に何を返してもらうかを一覧化します。口頭の約束では、担当者が替わると再現できません。
| 返還・移管の対象 | 条項に書く内容 |
|---|---|
| アカウント権限 | 終了日までに、自社の管理単位へ権限を移し、受託側のアクセスを削除する |
| 制作データ | 編集前の素材、書き出し済みデータ、デザインの編集可能ファイルを指定形式で納品 |
| 投稿計画・原稿 | 直近の投稿カレンダー、未公開の原稿、ハッシュタグ一覧 |
| 分析データ | 過去のレポート一式と、集計に使った元データ |
| 期限と費用 | 対応の期限(例:終了日から10営業日以内)と、追加費用が発生する範囲 |
修正を依頼する言い方は「終了時の引き継ぎ対象と期限を別紙にしたいです。基本料金に含まれる範囲と、別途見積になる作業の線引きを書いていただけますか」です。引き継ぎ費用を終了時に提示される形を避けられます。
発注者側にかかる法令も確認する(取適法・フリーランス法)
契約書の条項とは別に、自社が発注者として法令の対象になる場合があります。2つあります。
フリーランス法(特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律)は2024年11月1日に施行されました。従業員を使用しない個人や一人法人に業務を委託する場合、取引条件を書面または電磁的方法で直ちに明示すること、給付を受領した日から60日以内に報酬を支払うことなどが、発注事業者の義務とされています。6か月以上の業務委託では、中途解除や不更新の際に原則30日前までの予告が必要です(公正取引委員会の案内による)。個人のクリエイターに直接発注する場合は対象になり得ます。
取適法は、下請法を改正した法律です。改正法は2025年5月に成立・公布され、2026年1月1日に施行されました。名称が「中小受託取引適正化法(取適法)」となり、「親事業者」は「委託事業者」、「下請事業者」は「中小受託事業者」へと用語が変わっています。適用の有無は資本金などの基準で決まり、改正で従業員数による基準も加わりました。自社と発注先の規模によって扱いが変わるため、公正取引委員会の公表資料で確認することをおすすめします。
これらの法令は、受注側ではなく発注側に義務を課すものです。契約書の支払条件が自社の規程どおりでも、法令上の期限と合っているかは別に確認が必要です。支払サイトの条項は、経理部門にも見てもらうと判断が早くなります。
発注前チェック表
契約書案に赤を入れる前に、この表で抜けを確認してください。「書いてある」だけでなく「数字や名詞で特定されているか」で判断します。
| 条項 | 特定されているか | 不利になりやすい書き方 |
|---|---|---|
| 業務範囲 | 投稿本数・修正回数・撮影条件が数字で書かれている | 「運用業務全般」「別途協議」のみ |
| 著作権 | 移転の有無と時期、27条・28条、人格権不行使 | 「著作権は乙に帰属する」だけ |
| 二次利用 | 媒体・期間・改変の可否 | SNS以外の利用に触れていない |
| アカウント | 名義と最上位権限が自社 | 開設・管理を全面的に委ねる書き方 |
| 広告アカウント | 支払い名義と権限の所在 | 代行会社名義のまま運用 |
| 再委託 | 可否と、再委託先の行為の責任 | 再委託可とだけ書かれている |
| 秘密保持 | 従業員・顧客の肖像、実績公開の承諾 | 一般的な情報の定義のみ |
| 契約期間 | 最低期間、更新予告の期限と方法 | 長い自動更新予告、違約金の記載なし |
| 中途解約 | 不履行時の解除事由、前払金の精算 | 期間中は解約不可と読める |
| 報告 | 提出期限と記載指標 | 「定期的に報告する」のみ |
| KPI | 目標と保証の区別、未達時の改善提出 | 数値保証、または記載なし |
| 炎上対応 | 承認フロー、連絡先、停止判断の権限 | 投稿の責任を一方に包括的に寄せる |
| 賠償上限 | 基準月数と例外の設定 | 例外なしの一律上限 |
| 引き継ぎ | 対象一覧・期限・費用の線引き | 条項自体がない |
すべてを一度に通すのは現実的ではありません。優先するなら、冒頭の5条項から交渉してください。
内製化を前提にするなら、契約の入口で条件を決める
将来は社内で運用したいと考えている場合、契約の入口で決めることが増えます。編集可能な制作データの納品、撮影台本やフォーマットの提供、担当者への引き継ぎ時間の確保などです。これらは終了時に頼んでも、追加費用の話になりやすい項目です。
株式会社友竹ホールディングスは、Instagram・TikTokの運用代行に加え、社内で運用できる状態をつくる内製化支援(SODATSU)を行っています。業務範囲の線引きや権限設定、内製化への移行を見据えた契約条件については、事業内容のページをご覧いただくか、お問い合わせフォームからご相談ください。受付時間は平日10:00〜19:00(土日祝・年末年始を除く)です。
なお、本記事は契約実務の一般的な整理であり、個別の契約書についての法的助言ではありません。条項の最終判断は、弁護士など専門家の確認を得たうえで行ってください。
