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介護施設のSNS運用|家族に安心を伝える投稿

介護施設のSNS運用|家族に安心を伝える投稿

介護施設のSNSは、投稿ネタより先に「誰の、どの写真を、どこまで公開してよいか」を決めるところから始めます。入居者が写る以上、同意と公開範囲のルールがないと、現場は撮影をためらい、投稿が止まるからです。

この記事では、入居者・家族・職員の3者別の同意設計、顔を出さずに雰囲気を伝える撮り方、家族が本当に知りたいテーマを投稿に落とす型、見学予約と採用応募を1つのアカウントで両立させる導線、現場が回る週次の分担までを順に整理します。対象は介護付き有料老人ホーム・特養・グループホームなど、入居者と家族が意思決定に関わる施設です。

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結論:介護施設のSNSは「同意→投稿の型→導線」の順で作る

この章の要点

同意と公開範囲の台帳を先に作り、顔が写らなくても伝わる型を決め、最後に見学と採用の導線を分けます。この順番だと、現場が判断に迷う回数が減ります。

介護施設のSNSには、目的が2つ同時に乗ります。1つは入居検討中の家族の不安を減らすこと、もう1つは職員採用です。この2つは見る人が違うので、投稿の作り方も導線も分けて設計します。

一方で、どちらの目的でも最初の壁は同じです。「家族からクレームが来るのが怖くて写真を出せない」という状態が続くと、投稿が設備写真と告知だけになり、見学にも応募にもつながりません。だから着手の順番は次のようになります。

  1. 同意と公開範囲を決める
    入居者・家族・職員それぞれから、媒体と範囲を明記して同意を取り、台帳で管理します。
  2. 投稿の型を5〜7本に固定する
    食事・入浴・レク・夜間体制・看取り方針など、家族の疑問に答えるテーマを型にします。
  3. 導線を2本に分ける
    見学予約と採用応募で、プロフィールのリンクとハイライトを分けます。
  4. 週次の分担を決める
    撮る人・選ぶ人・承認する人を分け、1人に集中させません。

入居者・家族・職員の3者で同意と公開範囲を決める

利用者が識別できる写真は個人情報にあたります。個人情報保護委員会と厚生労働省のガイダンスQ&A(Q4-15)では、行事などの利用者の写真をホームページや機関誌に掲載する場合、また施設内に展示する場合も、第三者の閲覧に供するなら原則として本人の同意を得る必要があるとされています。SNSも第三者が閲覧する媒体なので、同じ考え方で扱うのが実務的です。

同意は「誰から・何に・どこまで」を分けて取る

対象 確認する相手 同意書に書く項目
入居者 本人(意思確認が難しい場合は家族・成年後見人等と協議) 使用媒体(HP/広報誌/Instagram等のSNS)、顔の可否、氏名表記の可否、撤回の方法と連絡先
家族 面会・行事で写る家族本人 本人と同じ項目に加え、入居者と一緒に写る場合の扱い
職員 職員本人(入職時と、採用動画出演時の二段階) 出演媒体、退職後の掲載の扱い、氏名や職種の表記、削除依頼の窓口

同意は「広報に使ってよいか」という一言では足りません。紙の広報誌だけを想像して同意した家族が、SNSでの公開を知って驚く、というずれが起きます。媒体名を列挙し、チェック欄で可否を分けて記録してください。

公開範囲は4段階で台帳にする

同意の内容を文章で残すだけだと、撮影現場で判断できません。入居者ごとに記号で持たせると、スタッフが迷いません。

区分 公開できる内容 必要な同意
A 顔+氏名(愛称含む) 本人と家族の双方。使う場面を限定して運用
B 顔あり・氏名なし 本人と家族の双方
C 後ろ姿・手元・シルエットなど、顔が判別できない範囲 本人(または家族)への説明と記録
D 人物が写らない(設備・料理・掲示物・風景) 撮影時に他の入居者が写り込まないことの確認

運用を始めた直後は、CとDだけで投稿を組み立てる方法もあります。Bが取れた分だけ表現の幅が広がる、という進め方なら、同意が集まるまで投稿を止めずに済みます。

見落としやすい点

認知症のある方の写真は、キーパーソン1人への電話連絡だけで進めないでください。福祉医療機構(WAM NET)が紹介する事例では、広報誌への顔写真と氏名の掲載について長男から了解を得ていたものの、知らされていなかった次男が市に苦情申立を行っています。本人の意思確認を基本としつつ、家族の誰に、どの方法で説明したかを記録に残す運用にしておくと、認識のずれに気づきやすくなります。

撤回されたときの手順を先に決める

同意は後から取り消される前提で設計します。次の3点を決めておくと、引き継ぎ時の取りこぼしを防げます。

  • 撤回の受付窓口(相談員か広報担当か)と、受けた人が記入する欄を台帳に用意する
  • 撤回を受けてから投稿を非表示・削除するまでの担当と期限を決める(例:3営業日以内)
  • 投稿IDと写っている入居者の対応表を残し、どの投稿を消すかを探さずに済むようにする

広告・表示のルールは施設の種別ごとに確認する

介護事業の広告規制は、施設種別で中身が変わります。ひとまとめに「介護施設の広告はここまで」と言えないため、自施設の種別から確認してください。

たとえば介護老人保健施設には、介護保険法第98条に広告制限があります。名称・電話番号・所在地、勤務する医師および看護師の氏名、厚生労働大臣の定める事項、都道府県知事の許可を受けた事項を除いて広告してはならない、という条文です。一方、特養や居宅系サービスにはこの条文はなく、指定基準で虚偽・誇大な広告が禁じられる形になっています。有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅も、根拠となる法律が異なります。

実務では、次の3点を所管自治体の担当課に確認してから運用を始めるのが無難です。

  • 自施設の種別に適用される広告・表示の根拠条文(法律・省令・自治体条例)
  • SNSの投稿が広告として扱われる範囲の考え方
  • 料金・空室・加算に関する表示で求められる注記

併設のクリニックや訪問看護を同じアカウントで紹介する場合は、医療広告の規制がかかる部分が出てきます。表現の判断に迷うときは、医療広告ガイドラインの要点をまとめた記事も参考にしてください。

顔を出さずに雰囲気を伝える撮り方

この章の要点

顔が写らなくても、手元・距離・音・時間の4つで生活の質感は伝わります。撮る対象をリスト化しておくと、現場が考えずに撮れます。

「顔出しなし=設備写真だけ」になると、投稿が無機質になります。次の撮り方を現場の撮影メモに入れておくと、Cランク(顔が判別できない範囲)だけでも中身のある投稿になります。

撮り方 具体例 伝わること
手元に寄る 湯呑みを持つ手、塗り絵の筆先、職員が肩に添える手 介助の距離感、落ち着いた時間の流れ
後ろ姿と引き 廊下を歩く後ろ姿、窓際に並ぶ椅子、食堂の全景 空間の広さ、自然光、移動のしやすさ
モノで語る その日の献立、刻み食とやわらか食の見た目の違い、手すりや浴槽 食事の質、身体状況への対応
音と時間 朝の配膳音、夕方の体操の掛け声(動画の音声のみ) 日中の活気、生活リズム
職員を主役にする 同意済みの職員が、設備や1日の流れを説明する 人柄、言葉づかい、採用面での印象

撮影時は、背景の写り込みを1つずつ確認します。居室表示の氏名、ホワイトボードの申し送り、記録用パソコンの画面、他の入居者の顔は、いずれも公開に向きません。ぼかし処理で消すより、撮る角度を変えて最初から写さない方が、確認の手間が減ります。

家族が見たい5つのテーマを投稿の型にする

入居検討中の家族が気にするのは、きれいな外観より日々の中身です。次の5テーマを型として固定すると、ネタ切れが起きにくくなります。以下は当社で作成した企画例で、実在の施設の投稿ではありません。

テーマ 家族の疑問 投稿で見せる内容
食事 父は飲み込みが弱いが対応できるか 常食・刻み・やわらか食を並べた写真、提供までの工程、管理栄養士の関わり方
入浴 週に何回、どんな介助で入れるのか 浴室の設備、個浴と機械浴の違い、介助人数、入浴日の決め方
レク・行事 日中は何をして過ごすのか 月間予定表、準備の様子、参加は自由であることの説明
夜間体制 夜に具合が悪くなったら誰が対応するのか 夜勤者の人数、巡回の時間帯、コール対応の流れ、医療機関との連携手順
看取り・終末期の方針 最期まで居られるのか、どこで判断するのか 施設の方針、本人と家族で話し合う場の持ち方、連携する医師の関わり

キャプションは4行の順番で書く

  1. 1行目は家族の疑問をそのまま置く
    例:「夜中に具合が悪くなったら、誰が対応するのですか」
  2. 2行目で施設の答えを1文で返す
    例:「夜勤帯は◯名体制で、◯時間ごとに居室を回っています」
  3. 3〜4行目で運用の中身を書く
    判断の流れ、連絡の順番、協力医療機関との関係など、手順で説明します。
  4. 最後に次の行動を1つだけ置く
    見学予約の方法か、質問の受け付け方のどちらかに絞ります。
書き方で注意する点

特定の入居者の状態が良くなった、という書き方は避けます。介護サービスの効果を個別の経過として示す表現は、誇大と受け取られる余地があります。「どんな体制で、何をしているか」という事実に寄せて書いてください。他施設との優劣を示す比較も控えます。

見学予約と採用応募を1アカウントで両立させる導線

家族向けと求職者向けを別アカウントに分けると、更新が2倍になり、現場が続きません。小規模な施設なら、1アカウントで入口だけ分ける方が現実的です。

プロフィールとリンク

  • 名前欄に「施設種別+市区町村名」を入れ、検索から探す人に合わせる
  • 自己紹介文は「入居を検討する家族へ」「働きたい方へ」の2行構成にする
  • リンク先は、見学予約フォームと採用ページの2つを並べたページにする
  • DMでの相談は個人の心身状況に触れやすいため、詳細は電話か面談に移す運用にしておく

ハイライトは家族用5つ・採用用3つ

対象 ハイライト名 入れる内容
家族 見学の流れ/1日の流れ/食事/居室と設備/費用の考え方 予約から当日までの手順、起床から就寝までの時間割、献立、居室の広さ、費用項目の内訳の説明
求職者 働く1日/研修と資格/募集職種 シフトの実例、未経験からの研修の流れ、募集中の職種と勤務形態

投稿の配分は、家族向け7割・採用向け3割から始める方法があります。採用の投稿にも入居を検討する家族は目を通します。職員の研修や申し送りの様子は、両方の読み手に効く数少ないテーマです。

投稿を増やしても問い合わせが動かないときは、どの段階で人が離れているかを数えます。考え方はInstagram投稿で集客する方法の記事で整理しています。

現場が負担なく続ける週次の分担

介護現場は人員に余裕がありません。広報担当1人に撮影から投稿まで任せると、繁忙期に止まります。役割を4つに割り、1人あたりの作業を短く保ちます。

曜日 担当 作業 目安時間
月 各フロアのリーダー その週の素材をスマホで撮り、共有アルバムに入れる 1人10分
火 広報担当 素材を選び、同意台帳と照合し、文章を書く 40分
水 施設長 公開範囲と表現を確認して承認する 15分
木 広報担当 予約投稿を設定する 15分
金 広報担当 コメント・DMを確認し、相談内容は相談員へ渡す 10分

上の時間は仮定に基づく試算です。週1本の投稿を前提にすると、広報担当の負担は週65分前後、現場は1人10分に収まる計算になります。月1回まとめ撮りをする方式に変えると、撮影の回数は減りますが、季節行事の鮮度は落ちます。どちらを取るかは、投稿本数と行事の多さで決めてください。

担当者の決め方で迷う場合は、SNS運用の社内担当の決め方をまとめた記事で、決める人・つくる人・承認する人の分け方を確認できます。

投稿前チェックリストと、相談するときの準備

公開ボタンを押す前に、承認者が次を確認します。印刷して承認フローに貼ると、確認漏れが減ります。

  • 写っている人全員が同意台帳で公開可の区分か(撮影後に撤回が出ていないか)
  • 背景に他の入居者、居室の氏名表示、申し送りボード、記録画面が写っていないか
  • 位置情報や投稿時刻から、入浴日や外出時間などの生活パターンが読み取れないか
  • 特定の入居者の診断名、服薬、介護度に触れていないか
  • 他施設との比較や、効果を断定する表現になっていないか
  • 料金や空室の情報が、最新の重要事項説明書と食い違っていないか
  • 削除依頼を受けたときの担当と期限が決まっているか

ここまでを自施設で組み立てるのが難しい場合は、外部に任せる範囲を決めてから相談すると話が早く進みます。たとえば「同意書の設計と撮影は自施設、企画と編集は外部」のように分ける方法があります。

当社はInstagram運用代行のほか、動画制作や内製化支援(SODATSU)を行っています。事業内容の一覧とこれまでの実績をご覧いただき、体制や進め方のご相談はお問い合わせからお寄せください。受付は平日10:00〜19:00(土日祝・年末年始を除く)です。

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