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SNS用の撮影を社内で始める手順|機材より先に決めること

SNS用の撮影を社内で始める手順|機材より先に決めること

社内で撮影を始めるとき、先に決めるべきは機材ではありません。目的と本数/撮る場所と光/出演と肖像権/保存と命名/撮影の型の5つです。この5つが決まっていないと、機材を買っても撮ったものが使えず止まります。

この記事は、店舗や中小企業がスマートフォン1台から縦型動画・写真を内製することを前提に書いています。スタジオ撮影や商品カタログ撮影は対象外です。着手から1か月で週1〜2本を出せる状態を目標にします。

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先に決める5項目と、決めないまま始めたときに起きること

この章の要点

機材は5項目を決めた後に買います。順番を逆にすると、買った機材が使われないまま棚に残りやすくなります。

決める項目 決める内容 決めないと起きやすいこと
①目的と本数 何のために、どの媒体に、月何本出すか 撮る基準がなく、撮影が「余裕のある日だけ」になる
②撮る場所と光 固定の撮影位置と時間帯 日によって明るさも背景も変わり、並べたときにバラつく
③出演と肖像権 誰が出るか、同意の取り方、退職・退店時の扱い 同意のないまま公開し、後から削除依頼が発生する
④保存と命名 共有ドライブ、フォルダ構成、ファイル名の規則 素材が個人スマホに散在し、担当交代で探せなくなる
⑤撮影の型 繰り返し使う構成を2〜3種 毎回ゼロから考えることになり、撮影時間が膨らむ

社内の誰に担当させるかを先に整理したい場合は、SNS運用を社内の誰が担当すべきかを整理した記事もあわせてご覧ください。本記事は、担当が決まった後の「撮影の立ち上げ」に絞って書いています。

①目的と本数を決める|「月に何本、何のために」を数字にする

最初に決めるのは、撮影の目的と月間本数です。目的は「集客」「採用」「接客の前説明」など、社内で一文に言い切れる粒度にします。目的が2つ以上ある場合は、どちらを優先するかまで決めます。集客と採用では、出る人も撮る場所も変わるためです。

本数は、撮影日の回数から逆算すると現実的になります。以下は仮定に基づく試算です。実際の所要時間は業種や編集の作り込みで変わります。

条件 仮定 月あたり
撮影日 月2回、1回90分(まとめ撮り) 3時間
1撮影日で撮る本数 4本(型が決まっている前提) 8本
編集 1本30分(テロップ+カット) 4時間
投稿・コメント対応 1本15分 2時間
合計 — 約9時間/月8本

この試算で言えるのは、月8本は週2時間強の確保で届く範囲にあるということです。逆に「毎日投稿」を初月から置くと、上の表の各行が約4倍になります。立ち上げ期は、本数より決めた日に必ず撮影枠を押さえることを優先した方が続きます。

見落としやすい点

撮影時間だけを見積もり、編集と投稿の時間を見ていないケースが多く見られます。上の試算では、撮影3時間に対し編集・投稿が6時間です。負荷の重心は撮影の後ろ側にあります。

三脚に固定したスマートフォンで室内を撮影している様子
写真:Ron Lach/Pexels

②撮る場所と光を固定する|毎回違う明るさを防ぐ

次に、店舗や社内で撮影位置を2〜3か所に固定します。固定するのは「どこで撮るか」だけでなく、カメラを置く位置、被写体の立ち位置、背景に何を入れるか、撮る時間帯の4点です。

  • 撮影位置A(人が話す用):背景に雑多な物が映らない壁際
  • 撮影位置B(手元・商品用):作業台の上。真上または斜め45度
  • 光:窓からの自然光を使うなら、時間帯を固定する(例:14〜15時)
  • 逆光の確認:被写体の後ろに窓や照明が来ていないか
  • 床にテープで立ち位置とカメラ位置の印を付ける

光が毎回違う最大の原因は、時間帯を決めていないことです。朝と夕方では色味も影の向きも変わります。自然光が読めない店舗なら、照明を1つ足して時間帯に左右されない条件を作る方が安定します。この判断は実際に数回撮ってから行えば十分で、最初から買う必要はありません。

撮影位置を決めたら、スマートフォンで「見本カット」を1枚ずつ撮り、共有フォルダに置きます。次の担当者は、この見本と同じ画角を再現するだけで済みます。文章のマニュアルより、見本画像1枚の方が引き継ぎは早く進みます。

③出演と肖像権のルールを文書にする|公開前に同意を取る

人が映る撮影では、公開前に本人の同意を取る手順を作ります。個人情報保護委員会は、本人と判別できる写真の画像は一般に個人情報に当たるとしたうえで、社内展示のような場合でも利用目的の通知または公表が必要としています。さらに、不特定多数への提供にあたっては自主的に本人の同意を得るなどの取組が望ましいとしています(個人情報保護委員会 よくある質問)。SNSへの投稿は不特定多数に向けた公開です。従業員・顧客を問わず、同意を取る前提で設計してください。

同意書に入れる項目の例です。社内の規程や雇用契約との整合は、自社の法務や顧問弁護士に確認してください。

  1. 利用する媒体を列挙する
    「自社Instagram・TikTok・採用サイト」など、公開先を具体名で書きます。「SNS全般」のような広い書き方は、後で範囲の争いになりやすい表現です。
  2. 利用期間を決める
    「公開日から2年」「在籍中」など、終わりを書きます。期間の定めがないと、退職後の取り下げ判断が属人化します。
  3. 取り下げの窓口と手順を書く
    誰に、どの方法で申し出れば、何営業日で非公開にするかを決めておくと、申し出があったときの対応が止まりません。
  4. 退職・退店時の扱いを決める
    「退職から◯か月後に過去投稿を棚卸しする」といった運用を先に決めておくと、引き継ぎ時の取りこぼしを防げます。
  5. 来店客が映り込む場合の扱いを決める
    店内撮影では、映り込み自体を避ける画角を基本にします。映る場合は、撮影中の掲示と声かけの担当を決めておきます。
見落としやすい点

同意を口頭だけで済ませると、担当交代後に「誰の同意が取れているか」が分からなくなります。同意の記録は、素材フォルダと同じ場所に、出演者名と日付で残してください。なお、法令の適用判断は事案ごとに異なります。判断に迷う場合は専門家に確認することをおすすめします。

窓からの自然光が入る作業スペースのテーブルと手元
写真:EVG Kowalievska/Pexels

④保存と命名を決める|個人スマホに素材を残さない

撮影した素材は、その日のうちに共有ドライブへ上げる運用にします。個人のスマートフォンにしか無い状態が続くと、退職や機種変更で素材が消えます。決めるのは次の4点です。

決める項目 決め方の例
保存先 会社アカウントのクラウドドライブ1か所。個人アカウントは使わない
フォルダ構成 年月 > 撮影日 > 素材/書き出し済み/公開済み の3階層
ファイル名 20261015_nihonbashi_menu_01.mp4(日付_拠点_テーマ_連番)
権限 編集権限は担当者と承認者のみ。退職時に権限を外す手順を決める

ファイル名を日付始まりにすると、並べ替えだけで時系列になります。テーマ名は社内で使う語を5〜10個に絞り、一覧にして共有してください。語が増えるほど検索できなくなります。

あわせて、アップロード後に個人端末から素材を削除するまでを手順に含めます。「上げる」までで止めると、個人端末側に残り続けます。

⑤撮影の型を2〜3種つくる|毎回ゼロから考えない

型とは、秒数と構成が決まった撮影の雛形です。型があると、当日の判断が「何を撮るか」だけになり、撮影時間が短くなります。以下はこの記事で用意した企画例です。自社の実績ではありません。業種に合わせて差し替えてください。

型A:手元の作業を見せる(20〜30秒)

  • 0〜2秒:完成形を先に見せる
  • 2〜20秒:作業を3カット。1カット5〜7秒で切る
  • 20〜30秒:完成形に戻り、テロップで要点を1つだけ出す

型B:人が1つだけ答える(30〜45秒)

  • 0〜3秒:質問をテロップと声の両方で出す
  • 3〜35秒:1人が1つの質問に答える。言い直しは撮り直さずカットで処理
  • 35〜45秒:次に見る人が取れる行動を1つ示す

型C:before/afterを並べる(15〜25秒)

  • 0〜5秒:beforeを静止で見せる
  • 5〜15秒:変化の過程を早送りで
  • 15〜25秒:afterを静止で見せ、所要時間や条件をテロップで補う

撮影は縦型(9:16)で統一し、画面の上下に文字を置かない余白を残します。上下は媒体側のUIが重なりやすい領域です。テロップは中央寄りに置くと、複数の媒体に出し分けるときの作り直しが減ります。

型ごとに「NGの例」も1行で書いておくと、確認する人の負担が軽くなります。例:型Bで、カメラ目線が外れたまま30秒続くものは撮り直す、など。

5項目を決めた後に買う、最小構成の機材

ここまで決めてから、不足しているものだけを買います。最初に揃えるのは3点で足ります。スマートフォンの画質は、多くの用途で十分に実用の範囲にあります。

優先 品目 解決する問題 買わずに済ませる場合
1 三脚またはスマホスタンド 手ブレと画角のバラつき。毎回同じ位置に固定できる 固定できる台があれば代用可。ただし高さが変わりやすい
2 外部マイク(ピンマイクなど) 話し声が環境音に負ける問題。店内撮影では影響が大きい 無音+テロップ中心の型だけで運用するなら後回しでよい
3 照明1灯 時間帯や天候で明るさが変わる問題 自然光の時間帯を固定できるなら不要な場合がある
— 一眼カメラ、ジンバル等 画質・動きの表現 月8本を3か月続けられてから検討で間に合うことが多い

判断の基準はシンプルです。2回以上の撮影で同じ不満が出たものだけ買う。1回目の撮影で感じた不満は、機材ではなく段取りが原因のことがあります。先に型と撮影位置を見直してください。

着手1か月の進め方

  1. 1週目:目的・本数・担当を決める
    目的を一文で書き、月間本数を決めます。撮る人と承認する人を分けて指名します。撮影枠をカレンダーに入れるところまでを1週目に終えます。
  2. 2週目:場所・光・同意のルールを作る
    撮影位置を2〜3か所決め、見本カットを撮ります。同意書の雛形を作り、出演予定者に説明します。保存先と命名規則を共有フォルダに書いて配ります。
  3. 3週目:型を使って試し撮りする
    型A〜Cから2つ選び、各2本ずつ撮ります。公開はせず、社内で見て不足を洗い出します。ここで初めて、機材で解決すべき不満が見えてきます。
  4. 4週目:最小構成を揃え、公開を始める
    不足が確定したものだけ購入します。週1〜2本の公開を開始し、撮影・編集・投稿の実時間を記録します。
  5. 2か月目以降:記録をもとに本数を調整する
    実時間が試算より大きくずれていれば、本数ではなく型を減らします。型を減らす方が、品質のばらつきを抑えやすくなります。

内製で回す範囲と、外注に出す範囲の線引き

すべてを内製にする必要はありません。分け方の基準は「現場でしか撮れないか」です。現場の人・空気・日々の変化は内製が向きます。一方、年に数回しか使わない高品質の素材や、設計の部分は外に出す判断がしやすい領域です。

工程 内製が向く条件 外注を検討する条件
企画・型の設計 型が固まっていて、差し替えるだけで回る 何を撮るか毎回迷う/成果の出る型が分からない
日常の撮影 現場に撮れる人がいて、撮影枠を押さえられる シフトが読めず、月の本数が半分以下に落ちる月が続く
編集 1本30分前後で仕上がっている 1本に2時間以上かかり、他業務を圧迫している
採用動画・季節の主力素材 — 年数回の使用で、仕上がりの水準を上げたい
分析・改善 見る指標が決まっていて、月次で振り返れている 数値を見ても次の打ち手に変換できない

切り替えの目安は、本数ではなく継続の落ち方で見ます。3か月のうち2か月で予定本数の半分を割った場合、原因は意欲ではなく体制にあることが多いです。そのときは全部を外注にするのではなく、落ちている工程だけを外に出すと、現場の知見は社内に残ります。

当社は、Instagram・TikTokの運用代行に加え、社内で運用を回せる状態をつくる内製化支援(SODATSU)を行っています。撮影ルールの設計や立ち上げ期の伴走、撮影込みの運用など、どこまでを社内で持つかの整理からご相談いただけます。提供サービスの一覧とこれまでの実績・事例をご確認のうえ、お問い合わせフォームからご連絡ください。受付は平日10:00〜19:00です。

店舗で撮る人を育てる順番については、店舗のSNS担当者を社内で育てる手順の記事で、1〜6か月目の習得順をまとめています。

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