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SNS経由の問い合わせを数える方法|計測の設定と限界

SNS経由の問い合わせを数える方法|計測の設定と限界

SNSからの問い合わせを数えたいとき、最初に決めるのは「どこまでを測り、どこからを推定にするか」です。すべてを正確に数える方法は、現状ありません。この記事では、測れる経路の設定手順と、測れない経路の扱い方を分けて整理します。

前提は、自社サイトにGA4などの計測ツールが入っていて、問い合わせ窓口がフォーム・LINE・電話・DMに分かれている事業者です。広告とオーガニック投稿の両方を回している想定で書いています。

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結論:SNS経由の件数は「確認できた分」と「推定分」を分けて報告する

この章の要点

1つの数字に丸めず、①リンク経由で確認できた件数、②本人の申告で確認できた件数、③経路不明の件数、の3つを並べて出します。③がゼロになることはない前提で、報告のフォーマットを先に決めておくと、月ごとの比較ができます。

報告書に「SNS経由20件」とだけ書くと、その数字の作り方を聞かれた時点で止まります。数え方を先に合意しておくほうが、数字の精度より先に効きます。

区分 何で分かるか 報告での扱い
①リンク経由で確認 UTM付きリンク、経路別QR、専用フォーム 確定値として記載
②申告で確認 フォームの「きっかけ」項目、電話や来店時の口頭確認 回答率を添えて記載
③経路不明 参照元なし、未回答、DM直接など 件数を明示し、按分の有無を注記

SNS経由が数えにくい3つの理由

構造を知らないまま設定だけ増やすと、数字が合わない原因を特定できません。主な理由は3つです。

1. アプリ内ブラウザや直接入力で参照元が消える

SNSアプリ内のブラウザから遷移した場合や、プロフィールのURLを手入力・コピーして開いた場合、参照元の情報が引き継がれないことがあります。GA4ではこうした流入が(direct)/(none)としてまとまります。原因は複数あり、リダイレクトやメールアプリ経由なども混ざります。

2. DMとコメントで完結する相談は、ツールに残らない

「空きありますか」「料金を教えてください」はDMで届きます。これはWeb解析の対象外です。受け取った担当者が記録しない限り、件数そのものが存在しないことになります。

3. SNSで知って、検索してから問い合わせる

投稿を見た人が、その場ではなく後日に店名を検索して来るケースです。この場合、計測上は自然検索か直接流入になります。SNSの寄与は、リンククリックの数字には出てきません。

スマートフォンとノートを広げて流入経路の数字を確認する机の上
写真:AS Photography/Pexels

設定できる計測方法5つと、それぞれの手順

ここから実装です。全部を同時に入れる必要はありません。窓口として使っている順に入れてください。

1. UTMパラメータでリンクに目印を付ける

URLの末尾にパラメータを付けると、GA4で参照元・メディア・キャンペーンとして分類できます。使う項目は、utm_source(どこから)、utm_medium(どうやって)、utm_campaign(どの施策か)が基本です。utm_sourceとutm_mediumが欠けると、キャンペーンとして認識されない点に注意します。

命名は先に表を作って固定します。表記ゆれがあると、GA4上で別物として並んでしまいます。

設置場所 utm_source utm_medium utm_campaign
Instagramプロフィール instagram social_profile profile_main
Instagramストーリーズ instagram social_story 2026_10_campaign
TikTokプロフィール tiktok social_profile profile_main
店頭ポスターのQR poster_shop qr store_front
見落としやすい点

UTMは外部から自社サイトに入る入口にだけ付けます。自社サイト内のリンクに付けると、一般にそこで計測上のセッションが切り替わり、本来の流入元が上書きされます。社内で共有するときは「外部からの入口だけ」と明記してください。

2. プロフィールのリンクを目的別に分ける

Instagramは、2023年4月のアップデート以降、プロフィールに外部リンクを最大5件まで登録できます。予約ページ、採用ページ、LINEなどを分けて登録し、それぞれ別のUTMを付けると、どの導線が押されているかが分かります。

ただし、リンクを5件並べるとクリックが分散します。最も案内したいページを1件目に置き、残りは役割が明確なものだけにするほうが、判断材料として読みやすくなります。

3. 問い合わせフォームに「きっかけ」の項目を置く

これが、参照元が消えた分を拾う最も現実的な手段です。選択肢は、報告に使う粒度で作ります。細かすぎると回答精度が落ちます。

  • Instagramの投稿・リールを見て
  • TikTokの動画を見て
  • Instagram・TikTokの広告を見て
  • Googleなどの検索から
  • 知人・既存のお客様の紹介
  • 以前から知っていた・その他(自由記述)

必須にすると回答率は上がりますが、入力途中の離脱が増える可能性があります。問い合わせ件数自体が少ない事業なら任意、月数十件以上あるなら必須、という分け方が判断しやすいです。どちらにしても、変更した月は前月と条件が変わる点を報告に書き添えてください。

4. LINEは友だち追加経路を設定する

LINE公式アカウントには、追加経路を設定したURLやQRコードを発行する機能があります。管理画面の「友だちを増やす」から経路・流入元・キャンペーンを入力し、発行されたURLやQRを設置場所ごとに使い分けます。結果は「分析」>「友だち」>「追加経路」で確認します。

限界も明確です。設定前にすでに友だちになっている人の経路は分かりません。また、どのユーザーがどの経路から来たかという個人単位の紐づけはできず、分析画面で選べる期間にも上限があります(最大90日と案内されています)。件数が少ない経路はまとめて集計される場合もあるため、経路を細かく分けすぎないほうが読みやすくなります。長期で推移を見るなら、月次で手元に記録を残す運用が必要です。

5. 電話と来店は、聞き方を決めて記録する

電話や来店の口頭確認は、設定ではなく運用です。受付時の一言を固定します。「差し支えなければ、当店をどちらでお知りになりましたか」と聞き、選択肢を読み上げずに回答をそのまま記録します。

表示先ごとに電話番号を分ける方法もありますが、番号を増やすと各種掲載情報の表記を揃える手間が発生します。問い合わせの大半が電話という事業でなければ、口頭確認の記録から始めるほうが、費用と手間に見合います。

5つの方法を、手間と精度で比べる

同じ「SNS経由の件数」でも、取れるデータの性質が違います。条件は、Webサイトとフォームがすでにある前提です。

方法 分かること 初期の手間 主な限界
UTMパラメータ どのリンクからサイトに来たか 小(命名ルールの作成) アプリ内ブラウザや手入力では欠落する
プロフィールリンクの出し分け どの導線が押されたか 小(設定のみ) リンク数が増えると分散する
フォームの「きっかけ」項目 本人の認識としての流入元 中(フォーム改修) 記憶に依存し、未回答が出る
LINEの友だち追加経路 経路別の友だち追加数 中(経路設計とQR差し替え) 個人単位では追えない。期間に上限
電話・来店の口頭確認 オフライン接点の経路 大(毎回の運用) 担当者によって記録精度が変わる

精度が高い順ではなく、窓口として実際に多い順に入れるのが効率的です。問い合わせの7割がLINEなら、UTMよりLINEの経路設定が先です。

会議室で資料の数字を見ながら施策を話し合う担当者たち
写真:Artem Podrez/Pexels

どうしても測れない分の扱い方

DM、口コミ、指名検索は、個別の紐づけができません。これらは次の3つで扱います。

  1. DMは受付台帳に手で記録する
    日付・媒体・アカウント名・内容・担当者の5項目だけで十分です。スプレッドシート1枚で回ります。項目を増やすと記録されなくなります。
  2. 指名検索の推移を補助指標にする
    Google Search Consoleで自社名・店名を含むクエリの表示回数とクリック数を月次で見ます。投稿量を増やした月に指名検索が動くかを、相関として確認します。因果の証明にはなりませんが、判断材料にはなります。
  3. 経路不明の件数を毎月そのまま出す
    按分して埋めるのは、按分の根拠を書ける場合だけにします。不明が増えた月は、計測設定が壊れていないかを先に確認します。
見落としやすい点

計測を代行会社に任せきりにすると、契約終了時にUTMの命名ルールやLINEの経路設定の意図が分からなくなります。命名表と設置場所の一覧を自社側のファイルで持ち、更新手順を決めておくと、引き継ぎ時の取りこぼしを防げます。

計測結果を予算判断に使う手順

数字が揃ったら、SNSへの支出を続けるかどうかを判断します。見るのは件数そのものではなく、問い合わせ1件あたりの許容額です。

先に「1件あたりいくらまで出せるか」を決める

以下は仮定に基づく試算です。実際の支援実績ではありません。

項目 仮の数値
平均受注単価 30万円
粗利率 40%(粗利12万円)
問い合わせからの成約率 20%
問い合わせ1件の期待粗利 2.4万円

この条件なら、問い合わせ1件の獲得に1万円かけても、計算上は粗利が残ります。次に実績と突き合わせます。

確認できた件数と、不明分の両方で計算する

同じく仮定の数値です。月の問い合わせ総数60件、SNS運用の支出が月30万円とします。

  • リンク経由で確認できた件数:14件
  • フォームや口頭の申告で確認できた件数:14件(重複除外後)
  • 経路不明:10件(残りは紹介・検索など他経路として確認)

確認できた28件で割ると、1件あたり約1.07万円です。経路不明10件に、確認できた分と同じ比率を当てはめると約33.6件となり、1件あたり約0.89万円になります。許容額1万円に対して、前者は超過、後者は収まります。

つまり不明分の扱い方で結論が反転する水準です。この場合は、増額判断を保留し、翌月はフォームの「きっかけ」項目の回答率を上げる施策を先に打つ、という順番になります。2か月続けて許容額を下回るなら増額、上回るなら投稿内容か導線の見直し、と基準を先に書いておくと、毎月の議論が短くなります。

最初の30日でやること

  1. 窓口ごとの件数を1か月そのまま数える
    フォーム・LINE・電話・DMの4つで、何件ずつ来ているかを把握します。ここが分からないと、どこに計測を入れるか決められません。
  2. UTMの命名表を作り、外部リンクを貼り替える
    プロフィール、ストーリーズ、広告、QRの順に入れ替えます。表記は固定します。
  3. フォームに「きっかけ」項目を追加する
    選択肢は6つ程度まで。追加した日付を記録し、前月との比較時に注記します。
  4. LINEの追加経路を設置場所ごとに発行する
    経路は3〜5個に絞ります。既存の友だちは対象外になる点を、関係者に共有しておきます。
  5. 報告フォーマットを確定する
    確認分・申告分・不明分の3列と、1件あたりの獲得費用を並べます。

計測設計は、運用を始めた後より、始める前に組み込むほうが手戻りが少なくなります。代行の成果が判断できない、報告の数字の作り方から見直したい、といった相談であれば、Instagram運用代行のサービス内容やTikTok運用代行のサービス内容をご確認ください。計測の設計や運用を社内に残したい場合は、内製化支援を含む事業内容の一覧が参考になります。個別の状況に合わせた進め方はお問い合わせフォームからご相談ください(受付は平日10:00〜19:00です)。

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