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SNS運用の年間予算の組み方|初年度と2年目で変わる配分

SNS運用の年間予算の組み方|初年度と2年目で変わる配分

SNSの年間予算は、総額を先に決めるより、5つの費目に分けてから年次で配分を変えると組みやすくなります。初年度は設計と素材づくりに重みがかかり、2年目は広告と社内人件費へ移っていきます。この記事では、費目の定義、初年度/2年目の配分モデル、予算表のひな形、超過時に削る順番、内製移行での費用の置き換え方までを順に示します。

前提として、ここで扱うのはInstagramとTikTokを中心にした縦型動画と画像投稿の運用です。金額の例はすべて筆者が条件を置いた企画例・試算であり、実際の支援実績ではありません。自社の人件費単価や本数に置き換えてお使いください。

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先に結論:5費目に分け、初年度と2年目で重心を移す

この章の要点

費目は「設計・初期構築」「コンテンツ制作」「広告」「ツール・機材」「社内人件費」の5つ。初年度は設計と制作に偏り、2年目は広告と社内人件費の比率が上がります。総額が同じでも中身は入れ替わります。

年間予算が通らない理由の多くは、金額の大小ではなく何にいくら使うのかが説明できていないことにあります。月額◯万円の運用代行費だけを計上すると、撮影の追加、広告の増額、社内の確認工数といった後から出る費用が予算外になります。先に費目の器を作り、器ごとに増減の理由を書けるようにしておくと、期中の相談が早くなります。

また、2年目に広告へ重心を移す前提にも根拠があります。電通デジタルなど4社が2026年3月に公表した分析では、2025年のソーシャル広告費は1兆3,067億円、前年比118.7%でした。配信面の競争は年々強まっているため、投稿だけで届く範囲を前提に翌年の計画を立てると、見込みが外れやすくなります。

5費目の定義と、金額が動くポイント

費目ごとに「何が含まれるか」「どの変数で金額が動くか」を決めておきます。ここが曖昧だと、見積の比較も期中の判断もできません。

費目 含まれるもの 金額が動く変数 発生の仕方
①設計・初期構築 競合調査、アカウント設計、KPI設計、プロフィールや固定投稿の整備、トンマナと撮影ガイドの作成 アカウント数、商材数、既存アカウントの改修範囲 初年度の最初の2〜3か月に集中。一時費用
②コンテンツ制作 企画、撮影、編集、デザイン、ライティング、出演者手配、ストック素材の購入 月間本数、撮影回数、出張の有無、店舗数 毎月。本数と撮影回数に連動して変動
③広告 配信費そのもの、広告運用の手数料、広告専用クリエイティブの制作 目的(認知/獲得/採用)、期間、商圏の広さ 毎月。増減させやすく、止めやすい
④ツール・機材 分析や予約投稿のツール、ストレージ、音源や素材のライセンス、カメラ・照明・マイク アカウント数、同時編集する人数 年額契約が多い。機材は初年度に偏る
⑤社内人件費 担当者の稼働、確認と承認、出演、素材集め、月次レビューの同席 承認者の数、業界特有のチェック(医療・金融など) 毎月。予算に載らず見落とされやすい

⑤は現金支出ではないため省かれがちですが、ここを書かないと内製移行の判断ができなくなります。簡易な換算として「年収÷年間労働時間×1.2〜1.3(法定福利費などの係数)」で時間単価を出し、月の想定稼働時間を掛ける方法があります。係数は自社の実績に合わせて置き換えてください。

見落としやすい点

撮影費は②に入りますが、見積の条件によって総額が大きく変わります。出張回数や拘束時間で何が変わるかは、撮影込みのSNS運用と内製撮影の費用比較で分解しています。

資料を広げて年間予算の配分を話し合う会議の様子
写真:Vlada Karpovich/Pexels

初年度の配分モデル(仮定に基づく試算)

年間600万円(月平均50万円)を1アカウントに充てる場合を仮定した企画例です。目的は認知と問い合わせの獲得、店舗は1拠点、投稿は月12本とします。

費目 年額 構成比 置いた条件
①設計・初期構築 60万円 10% 初月〜3か月目に集中。設計とガイド作成を一度きりで実施
②コンテンツ制作 240万円 40% 月12本。うち隔月で撮影1回(年6回)
③広告 120万円 20% 4か月目から開始。月10万円前後で検証
④ツール・機材 30万円 5% 分析ツール年額+初年度の機材購入
⑤社内人件費 150万円 25% 担当者が月20時間、承認者が月4時間。時間単価5,000円で換算

初年度のポイントは広告を最初から満額で計上しないことです。訴求もクリエイティブも固まっていない段階で配信量を増やすと、何が効いたのか判断できないまま予算だけが減ります。企画例では1〜3か月目を設計と制作に充て、投稿の反応が読めてから配信を始める前提にしています。

月別に落とすと、1〜3か月目は月70万円前後、4か月目以降は月45万円前後という山型になります。期初の支出が重くなるため、資金繰り上も月平均ではなく月別で見せるほうが社内の合意を得やすくなります。

2年目の配分モデル|外注継続型と内製移行型

同じ年間600万円でも、2年目は中身が入れ替わります。設計費は一度きりで消え、その分を広告か社内人件費に回せます。

費目 初年度 2年目A(外注継続) 2年目B(部分内製)
①設計・改修 10% 5%(年1回の設計見直し) 3%
②コンテンツ制作 40% 25%(型が固まり単価が下がる前提) 20%(撮影と難度の高い編集のみ外注)
③広告 20% 40% 35%
④ツール・機材 5% 6% 9%(編集ソフト・素材ライセンスを追加)
⑤社内人件費 25% 24% 33%

Aは運用を外に置いたまま、投稿の型を使い回して配信量を増やす形です。Bは企画と編集の一部を社内に移し、外注を撮影と設計レビューに絞る形になります。Bは現金支出が減る代わりに、社内の時間が確実に増えます。人件費を予算に書いていないと、「安くなったのに現場が回らない」という状態になります。

どちらを選ぶかは、社内に投稿を作れる人が1人以上いるか、その人の稼働を月20時間以上確保できるか、で切り分けると判断しやすくなります。確保できないうちは、Aのまま配信と検証に寄せたほうが運用は続きます。

年間予算表のひな形と、期中の組み替えルール

稟議に出す表は、費目×四半期の形にして、可変枠を最初から分けて書くのが実務的です。以下は項目のひな形です(金額は自社の数字を入れてください)。

  1. 費目を縦軸、四半期を横軸に置く
    5費目×4四半期+年額合計。月別の山があるなら月列も足します。
  2. 固定枠と可変枠を分ける
    年額の10〜15%を可変枠として最後の行に確保。増額の決裁を期初に取っておくと、期中の相談が1回で済みます。
  3. 各費目に「動く条件」を1行書く
    例:制作費は月12本を基準、撮影1回追加で+◯万円。広告は問い合わせ単価が目標内なら翌月+20%まで。
  4. レビューの日付を先に入れる
    四半期末に配分の見直し日を置き、そこ以外では原則動かさない運用にします。
  5. 翌年の前提を注記する
    設計費が消えること、内製移行なら人件費が増えることを初年度の表に書いておくと、2年目の説明が短くなります。

期中に広告を増やすかどうかは、感覚ではなく条件で決めます。たとえば「問い合わせ単価が目標の範囲に2か月連続で収まっている」「受け皿(予約枠・面談枠・在庫)に余裕がある」の両方を満たしたときだけ可変枠を使う、といった書き方です。逆に受け皿が埋まっているなら、広告を止めて制作の質に回すほうが筋が通ります。

数値のグラフを見ながら予算の配分を見直す担当者たち
写真:https://kaboompics.com//Pexels

配分が崩れているサインと、削ってよい費目・残す費目

予算超過は突然起きません。次のどれかが出たら、配分の見直し時期です。

  • 制作費が予算の半分を超えているのに、保存数や視聴維持率が3か月横ばい
  • 広告費だけが増え、指名検索や問い合わせ数が連動していない
  • 月末のまとめ撮りが常態化し、追加撮影の請求が毎月出ている
  • 契約しているツールが3つ以上あり、実際に開いているのは1つ
  • 担当者の時間外で回っていて、その工数が予算表に載っていない
  • 四半期レビューの場がなく、増額の相談が単発で上がってくる

削るときは順番があります。先に手を付けるのは、効果の確認が取れていない支出です。

順番 削る対象 判断の目安
1 重複しているツール 同じ指標を2つのツールで見ている。使用頻度が月1回未満
2 成果の出ていない広告セット 十分な配信量があっても目標単価から外れ続けている
3 凝った制作(長尺・ロケ・外部出演) 反応が通常投稿と変わらない。単価が平均の2倍以上
4 投稿本数 下限(週2本など)を決めたうえで減らす。ゼロにしない

一方で、削ると後で高くつく費目もあります。計測と分析の工数、四半期ごとの設計見直し、音源や素材のライセンス費、医療や金融などで必要な社内チェックの工数です。とくにライセンスと確認フローは、後から修正する手間のほうが大きくなります。投稿前の確認手順を文書にして担当者が替わっても回る状態にしておくと、引き継ぎ時の取りこぼしを防げます。

内製移行で、費用はどう置き換わるか

内製化は「外注費がそのまま浮く」話ではありません。費目の付け替えが起きます。置き換えの対応関係を整理すると、次のようになります。

外注時の費用 内製後に発生するもの 移行時に増える一時費用
企画・編集の制作費 担当者の稼働(人件費)、編集ソフトの年額 編集研修、テンプレート整備
撮影費 機材費、撮影日の社内稼働 機材購入、撮影手順の作成
分析レポート費 分析ツール、レビューの社内工数 指標の定義づくり、ダッシュボード設定
広告運用手数料 運用担当の稼働 アカウント権限の移管、運用ルールの作成

移行は一度に全部ではなく、工程単位で進めるほうが途切れません。制作から移す、分析は最後まで外に置く、といった分け方が現実的です。引き継ぐ範囲と期間の決め方は、SNS運用の仕事内容と成果の出し方で整理した業務分解と合わせて考えると決めやすくなります。

見落としやすい点

移行期は外注と社内の二重コストが発生します。並走期間を3か月置くなら、その分の制作費を2年目の予算に残しておく必要があります。ここを削ると、品質が落ちたまま完全内製に入ることになります。

相談する前に用意しておくと話が早いもの

年間予算の相談では、次の4点が揃っていると、見積の前提をその場で詰められます。

  • 年間で確保できる総額と、固定枠・可変枠の割合
  • 投稿の目的(集客/採用/指名検索の獲得)と、受け皿の処理能力
  • 社内で出せる時間(担当者の月間稼働時間と承認者の人数)
  • 2年目以降に内製へ移す意思があるか、移すなら何の工程か

当社は、Instagramの運用代行とTikTokの運用代行に加え、内製化支援のSODATSUを提供しています。初年度の設計から2年目の内製移行までを前提にした年間契約の組み方は、事業内容のページで全体像を確認できます。媒体ごとの進め方はInstagram運用代行、TikTok運用代行のページにまとめています。予算の前提を置いたうえで見積を比較したい場合は、お問い合わせからご相談ください(受付は平日10:00〜19:00)。

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