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お客様の投稿を使うときの許諾の取り方|文面例と範囲

お客様の投稿を使うときの許諾の取り方|文面例と範囲

お客様の投稿や写真を自社アカウントで使うときは、「著作権」と「肖像権」の2つについて、使う範囲を決めたうえで本人の許可をもらうのが基本の形です。許可は取るか取らないかの二択ではなく、どの媒体で・いつまで・どう加工して・広告に使うか、までを揃えて初めて使える状態になります。

この記事は、日本国内で店舗・企業アカウントを運用する担当者を想定しています。実際の可否は写り方や契約内容で変わります。削除請求や損害賠償など紛争に発展しそうな場面は、弁護士などの専門家に確認してください。

この記事の結論

許諾は「媒体・期間・加工可否・広告転用・取り下げ対応」の5項目をセットで取り、DMのスクリーンショットか同意記録シートで残します。口頭だけ、店内掲示だけで広告まで賄おうとすると、後から使えなくなります。

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お客様の投稿を使うときに必要な許可は2種類ある

必要なのは、作った人の権利(著作権)と、写っている人の権利(肖像権)です。この2つは別物で、持ち主が違うこともあります。

写真・動画・レビューの文章は、撮った人や書いた人の著作物になり得ます。これを自社アカウントに載せる行為は複製・公衆送信にあたるため、著作権者の許諾が要ります。さらに著作者人格権として、名前の表示や、無断で改変されない利益も認められています。トリミング・文字入れ・音源差し替えは、許諾とは別に確認する項目だと考えてください。

肖像権は、著作権法のような単独の条文があるわけではなく、裁判例の積み重ねで人格的利益として扱われてきたものです。顔が判別できる形で公表するなら、写っている本人の同意を取るのが実務上の基本線になります。顔写真や氏名は個人情報としての扱いも生じるため、保管場所と閲覧できる人を決めておくと、担当交代時の取りこぼしを防げます。

ケース別・誰の許可が必要か

使いたい素材 著作権の相手 肖像権の相手 補足
お客様が撮った料理・商品の写真 撮影したお客様 人が写らなければ不要 他店のロゴや作品が写り込んでいないか確認
お客様の自撮り投稿 撮影したお客様 同じお客様 1人から両方の許可を取れる
店が撮ったお客様の写真 自社(撮影者) 写っているお客様 撮影時にその場で同意を取る
お客様が書いたレビュー文 執筆したお客様 — 表現をそのまま載せるなら許諾が要る
他のお客様が写り込んだ写真 撮影したお客様 写り込んだ全員 同意が取れない人はぼかす、または使わない
未成年のお客様が写る写真 撮影者 本人+保護者 保護者の確認方法を決めておく
見落としやすい点

プラットフォームの機能で共有できることと、法律上の許諾が取れていることは別の話です。自社がメンションされた投稿をストーリーズでシェアできる場合でも、フィードやリールへの転載、広告クリエイティブへの転用は、改めて本人に確認する前提で設計してください。

許諾で決める5項目(媒体・期間・加工・広告転用・取り下げ)

「載せていいですか」だけでは範囲が決まりません。次の5項目を文面に入れると、後から使い回すときの確認が1回で済みます。

項目 聞くこと 決めておかないと起きること
媒体 Instagram/TikTok/自社サイト/店頭POP/チラシ SNS限定のつもりが紙に使われたと言われる
期間 掲載開始から何年か、無期限か 数年後の投稿が残り、削除依頼の対象になる
加工 トリミング・文字入れ・色調整・一部抜粋の可否 意図が変わったと指摘される
広告転用 費用をかけた配信に使うか 広告審査後に取り下げが必要になる
取り下げ 連絡先と、削除までの目安日数 連絡先が分からず対応が遅れる
  • 依頼文に5項目を書いたか
  • 投稿者のアカウント名と投稿URLを控えたか
  • 相手の「はい」が、どの範囲への返事か読み取れるか
  • クレジット(@メンション)の有無を決めたか
  • 未成年の可能性がある場合、保護者確認の手順を踏んだか

広告に使う可能性があるなら、最初の依頼で聞いておくのが結局は早道です。後から広告だけ取り直すと、返信が来ないまま素材が使えなくなります。

カフェでテーブルの料理をスマートフォンで撮影するお客様の手元
写真:Israel Torres/Pexels

場面別・そのまま使える依頼文面の例

以下は当社が作成した文面例です。自社の実績や顧客とのやり取りではありません。店名や期間を入れ替えて使ってください。

1. DMで依頼する(投稿後に気づいた場合)

「〇〇(店名)です。ご来店ありがとうございます。〇月〇日のご投稿の写真を、当店のInstagramとTikTok、公式サイトで紹介させていただけないでしょうか。掲載期間は掲載日から2年、投稿文は当店で作成し、写真はサイズ調整のみ行います。お名前は@〇〇としてクレジットを入れます。広告配信に使う場合は改めてご連絡します。取り下げのご希望は、このアカウントのDMで承り、確認後おおむね3営業日以内に削除します。ご都合が悪ければ、この返信は不要です。」

相手の返信が「どうぞ」だけでも、依頼文に範囲が書いてあれば、何に対する承諾かが残ります。文面はテンプレートとして保存し、担当者ごとに文言がぶれないようにします。

2. 店頭で声をかける(レビュー文や写真を使いたい場合)

「ありがとうございます。いただいた口コミを、当店のSNSとホームページで紹介してもよろしいでしょうか。お名前はイニシャルのみ、掲載は2年ほどです。文章は短くする場合がありますが、内容は変えません。やめたくなったら、お電話でも店頭でもお申し付けください。」

口頭で聞くときは、媒体・期間・取り下げ方法の3点だけでも必ず声に出します。その場で記録を残す方法は次章にまとめました。

3. 撮影時に同意を取る(来店中の写真・動画)

「本日の様子を撮影して、当店のSNSに投稿しています。お顔が写るものは、投稿前にご本人に確認します。写りたくない場合は撮影しません。顔を出さず、手元や後ろ姿だけにすることもできます。」

撮影した直後に、実際に使うカットを見せて確認を取ると、認識のずれが減ります。動画の場合は、どの秒数が使われるか口頭で伝えます。

特典と引き換えに投稿してもらう場合

割引やサービスと引き換えに投稿を依頼すると、景品表示法のステルスマーケティング規制の論点が出ます。2023年3月28日の内閣府告示第19号が2023年10月1日に施行され、「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」が不当表示に指定されました。運用基準では、事業者が表示内容の決定に関与したか、第三者の自主的な意思による表示と客観的に認められるか、といった観点が示されています。依頼して投稿してもらうなら、投稿側に「PR」「〇〇店から提供」などの表示を入れてもらう設計にしてください。

口頭でもらった同意を記録に残す手順

口頭の同意は、記録がないと「言った・言わない」になります。難しい書式は不要で、次の流れで足ります。

  1. その場で範囲を声に出す
    媒体・期間・取り下げ方法の3点を伝え、相手の返事を確認します。
  2. 当日中に記録を書く
    日時/対応した担当者/伝えた範囲/相手の反応/素材のファイル名を1行で残します。
  3. 素材と記録を紐づける
    写真のファイル名に日付と整理番号を入れ、記録表の番号と一致させます。
  4. 投稿後に投稿URLを追記する
    どの素材がどの投稿で使われたかが分かると、削除依頼に数分で対応できます。
  5. 保管場所と閲覧者を決める
    共有ドライブの1フォルダにまとめ、閲覧できる担当を限定する運用にします。

DMでの許諾は、依頼文と返信が同じ画面に入るようスクリーンショットを撮り、同じ記録表に貼ります。アカウント名は変更されることがあるため、投稿URLも控えておきます。

店内掲示で足りるか、個別同意が要るかの判断基準

「撮影・SNS掲載を行っています」という店内掲示は、周知としては意味がありますが、個別の同意そのものではありません。写り方で線を引くのが実務的です。

写り方 想定される対応
店内の全景で、人物が小さく誰か分からない 掲示+撮影時の声かけで運用する
後ろ姿・手元・足元のみ 掲示+声かけ。顔が写ったカットは使わない
顔が判別できる人物が写る その場で本人に個別同意を取り、記録を残す
特定の人物を主役にした投稿 個別同意。使うカットを見せて確認する
広告配信・チラシ・看板に使う 書面またはDMで、5項目を明記した同意を取る
未成年が写る 保護者の同意を取る。取れなければ使わない

同意書の書面が要るのは、主に広告転用と長期掲載です。日々の投稿まで書面にすると運用が止まるため、SNS投稿はDM・口頭+記録、広告と紙媒体は書面と段階を分けると回しやすくなります。

店舗スタッフが用紙に記録を書き込んでいる様子
写真:Daniel Andraski/Pexels

広告転用やサイト掲載に広げるときの再確認

許諾を取るタイミングは、撮影時・投稿後・転用時の3つに分かれます。範囲を広げるときは、最初の許諾でどこまで聞いたかを記録表で確認してから動きます。

  1. 記録表で範囲を照合する
    媒体欄に広告が入っていなければ、再連絡が必要です。
  2. 追加のお願いをDMで送る
    「以前ご承諾いただいた写真を、Instagram・Facebookの広告配信にも使わせていただけますか。配信期間は〇月〇日から3か月、地域は〇〇です」と、期間と範囲を具体的に書きます。
  3. 返信がない場合は使わない
    無返信を同意とみなす運用は避けます。代替素材に差し替えます。
  4. 配信開始後も取り下げ経路を残す
    停止依頼を受けたら誰が広告を止めるか、担当を決めておきます。

取り下げ依頼が来たときの対応フロー

連絡を受けてから手順を考えると遅れます。受付から記録までを先に決めておきます。

  1. 受付窓口を一本化する
    DM・電話・メールのどこに来ても、担当者1名に集約します。
  2. 先に表示を止める
    事実確認より先に、該当投稿を非表示にします。Instagramなら投稿を消さずに非表示にできるため、手順はInstagramのアーカイブの使い方の記事を参照してください。
  3. 記録表で許諾範囲を確認する
    いつ・どの範囲で同意を得たかを照合します。
  4. 広告・外部掲載を止める
    配信中のクリエイティブ、サイト、店頭POPまで洗い出します。
  5. 対応内容を相手に伝える
    削除した媒体と日付を具体的に返信します。
  6. 記録に残して再発を防ぐ
    原因が依頼文の不足か、記録漏れかを分けて書きます。

削除までの目安日数を依頼文に書いておくと、相手も待てます。即日と書くより、営業日ベースで現実的な日数を示すほうが守れます。

許諾が取れないときの代わりの見せ方

返信が来ない、顔出しを断られた、という場面は普通に起きます。無断で使わずに済ませる選択肢を先に用意しておきます。

  • 同じ料理・商品を自店で撮り直し、撮影の手間を自社側に持つ
  • 顔を入れず、手元・後ろ姿・席からの目線で雰囲気を伝える
  • レビューの文章を転載せず、内容を自社の言葉で要約して伝える
  • 個別の声ではなく、件数や傾向として示す(例:ご質問の多い項目をまとめる)
  • 「投稿してくださった方に紹介のお願いをしています」と運用方針を公開し、応じてくれる人を増やす

レビューを自社の言葉で要約する場合も、評価を良い方向に書き換えると別の問題になります。元の内容から離れない範囲でまとめ、要約であることが読み手に分かる書き方にしてください。

ルールを運用の中に組み込む

許諾の取り方は、個人の気配りではなく手順として残すと機能します。依頼文テンプレート、記録表、削除フローの3点を作り、投稿の承認フローに「素材の許諾確認」を1行足すところから始められます。

外部に運用を任せる場合は、素材の権利処理を誰がやるかを契約時に決めておきます。撮影は自社、許諾取得は自社、投稿は代行、といった分担が曖昧だと、削除依頼のときに止まります。Instagram運用代行のサービス内容やTikTok運用代行のサービス内容、内製化支援を含む事業内容の一覧をご覧いただき、素材ルールの整備や承認フローの設計から相談したい場合はお問い合わせフォームからご連絡ください。受付は平日10:00〜19:00です。

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